1. HOME
  2. 蜷城の獅子舞

福岡県無形文化財「蜷城の獅子舞」

蜷城の獅子舞は毎年10月21日に挙行される美奈宜神社の御神幸に奉仕するものであり、雌雄2対の獅子で構成されます。獅子は胴体をシュロで編み、獅子役に足絆にもシュロを使用するなど特異であります。シュロは古くから筑後川流域に多く茂っていました。獅子は長田・鵜木地区から奉納され、長田地区は神幸神輿の警護、鵜木地区は神輿台を祓う役を負っています。獅子舞の特徴は、筑前地方に多い伎楽系統の獅子舞とは異なり舞楽を伴わず、芸能的な部分が少ないといわれます。また、病気除けや豊作を願うという信仰に、祓いの獅子の姿がよく伝えられています。この系統の獅子は、筑後川中流域の各地に伝承されていますが、現在に至るまで本格的な形態を残しているのは蜷城のみであります。昭和51年4月、福岡県指定無形民俗文化財に指定されました。

また今上陛下が皇太子殿下の頃、平成16年に国民文化祭福岡大会にて獅子舞をご覧いただいております。
また獅子舞用の蓑はシュロを編んで作る技術も世界でも類をみない伝統技術です。平成29年には伝統技術で編むシュロ縄が、東日本大震災の被災地に届けられています。

「おくんち」奉納行事

シュロ縄製の蓑(みの)つくり

シュロの木皮での蓑作りの技術を有するのは全国でも当社の保存会だけです。内側からひし形に編んでいくと外側に長い毛が出 て来ます。シュロが固い為、結び目が締まりにくく、又ひし形に 編むのが大変難しく、獅子1頭に対し 13 キロと、重たい蓑です。 二人で一頭の獅子に入る大きい蓑の為、なれた人材が 1 日 8 時間 製作にあたっても 2 ヶ月かかってしまう、大変な作業です。朝倉の貴重な伝統技法となっています。

井上先生を偲んで

井上輝雄先生との出会いは平成13年でした。蓑を作るのにたいへん苦労していた頃、幸運にも井上先生と出会うことができました。その後、保存会は先生の指導をいただきながら、獅子舞用の蓑を制作できるよう精進して参りました。まだまだ教えていただくことはたくさんあったのですが、平成29年7月九州北部豪雨災害が発生。朝倉市に甚大な被害をもたらした災害に巻き込まれ、尊い先生の生命が犠牲になりました。
 先生は、シュロやカヤなどの植物繊維が編める数少ない名人で、県の選定保存技術保持者として初認定されていました。蓑の仕上がりは格別でした。
現在も先生のご指導に恥じないよう、蓑作りに地域一丸となって、蓑作りに励んでいます。